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Raw Materials
原料を知る|イナゴ豆抽出物
イナゴ豆抽出物とは?|キャロブの特徴と商品開発での活用
イナゴ豆抽出物は、イナゴマメ(キャロブ)という植物に由来する抽出素材です。名前に「イナゴ」とありますが、昆虫由来ではありません。地中海地域で親しまれてきたマメ科の木で、細長いさや状の果実をつけます。
キャロブは、食品用の粉末やシロップ、種子から得る増粘素材など、部位や加工方法によってさまざまに利用されています。このページでは、植物の基礎知識と食文化から、ピニトールなどの成分、研究の見方、抽出物を使う商品開発の検討点まで解説します。

イナゴ豆抽出物を知る3つのポイント
- 原植物はイナゴマメ(キャロブ)。昆虫ではなく、マメ科の常緑樹です。
- 果肉・種子・抽出物では成分や用途が異なり、食品用キャロブ粉末やローカストビーンガムとも区別が必要です。
- ピニトールなどに着目した研究がありますが、研究試料の規格を通常の粉末や当社品へそのまま当てはめることはできません。
イナゴ豆・イナゴマメ・キャロブとは
イナゴマメの学名は Ceratonia siliqua L.。英語では「carob」「locust bean」などと呼ばれます。地中海地域で栽培され、厚みのある緑色の葉と、熟すと茶色になる細長い果実が特徴です。果実はまっすぐなものから曲がったものまであり、内部に硬い種子を含みます。[1]
素材を理解するうえで大切なのが、さやの果肉部分と、その中の種子を分けて考えることです。果肉は食品の粉末やシロップに利用されます。一方、種子の胚乳(発芽のための養分を蓄える部分)は、ローカストビーンガムの原料になります。[2][3]
「抽出物」は、原料から成分を取り出して調製したものです。同じ植物名でも、使用部位、抽出・精製方法、濃縮の程度によって性質は変わります。「イナゴ豆抽出物」という名称だけで、種子由来か果肉由来か、どの成分をどれだけ含むかまでは判断できません。

地中海の食文化と、種子にまつわるエピソード
甘みのある果肉を食品へ
キャロブの果肉は糖を含み、食品として利用されてきました。粉末をココアの代わりに用いる例があるほか、キプロスではキャロブシロップが伝統的な食品として知られています。茶色い見た目が共通していても、カカオとは別の植物です。[1][2]
こうした食文化はキャロブを知る手がかりになりますが、食品用の果肉粉末の味や栄養組成を、抽出物へそのまま移すことはできません。抽出物の商品設計では、食品としてのイメージと実際の仕様を照らし合わせる必要があります。
宝石の重さを表す「カラット」との関わり
キャロブは、宝石の重さを表す「カラット」の語源とも関係する植物です。ただし、「種子はどれも同じ重さだから使われた」という説明には注意が必要です。種子の重さを調べた2006年の研究では、キャロブにも他の植物と同程度のばらつきがあり、人が見た目で選別することの関与が示唆されています。身近な単位の背景にも、伝承と実測の違いがあります。[4]
主な成分と、研究を読むときのポイント
ピニトールは、果肉と種子で同じではない
D-ピニトールは、イノシトールに関連する環状の糖アルコールの一種です。キャロブでは、果肉やシロップ中の成分として分析されています。2019年のキプロス産試料の研究では、果肉とシロップからD-ピニトールが検出された一方、調べた種子試料では検出限界未満でした。[2]
これは限られた試料の分析結果であり、すべてのキャロブの含量を示すものではありません。それでも、「豆」という名前から種子に同じ成分が多いと考えるのではなく、使用部位を確認する重要性が分かります。
種子由来のガム素材との違い
ローカストビーンガムは、種子の胚乳を原料とする素材です。主な成分はガラクトマンナンという多糖類で、食品のとろみや安定性を調整する用途に利用されます。ピニトールなどに着目した抽出物とは、目的も組成も異なります。抽出物を配合すれば同じ増粘性が得られる、とはいえません。[3]
健康分野では、どのような研究がある?
キャロブ由来の素材では、イノシトール類を含む試料を用いて、糖の代謝に関する指標を調べるヒト試験が行われています。2016年公表の研究では、健康な成人40人を対象に、特定の飲料を12週間摂取した条件を比較しています。2026年には、対象者を限定した90日間の液体濃縮物の試験も公表されました。[5][6]
これらは、特定の成分構成を持つ飲料・濃縮物についての研究です。一般のキャロブ粉末や、規格の異なる抽出物の働きを一括して示すものではありません。血糖管理や疾病予防を目的とする使い方を、これらの論文だけから勧めることはできません。
研究を見る際は、対象者、使用部位、成分含量、摂取期間、比較した食品を確認します。試験で使われた量を、そのまま日常の摂取目安やOEM配合量に転用せず、採用する原料の資料に基づいて検討することが大切です。
商品開発では「キャロブ由来」の中身を確認
キャロブ由来の素材には、食品としての味や色を生かすもの、物性を調整するもの、特定の成分に着目するものがあります。まず、商品にどのような役割を持たせたいかを整理しましょう。
| 素材の種類 | 特徴と確認したい点 |
|---|---|
| 果肉の粉末 | 食品の風味や色を生かす素材。焙煎の有無、糖類、粒度、口当たりを確認します。 |
| キャロブシロップ | 果肉由来の液状食品。甘さ、糖組成、固形分などを確認し、抽出物と同一視しません。 |
| ローカストビーンガム | 種子の胚乳由来の増粘・安定化素材。粘度や使用条件など、物性を基準に検討します。 |
| イナゴ豆抽出物 | 使用部位、抽出方法、規格成分、賦形剤などを確認。原料名だけで色・味・溶けやすさを決めつけないことが大切です。 |
上表は素材一般の比較であり、当社の供給形態や在庫を示すものではありません。

試作前に整理したい仕様
サプリメントの企画では、抽出物そのものの配合量と、規格成分の量を分けて確認します。例えば、規格成分の含有率が異なれば、同じ重量の原料でも設計上の意味が変わります。抽出倍率だけで成分量を比較することもできません。
粉末製品を検討する場合は混ざりやすさや吸湿性、飲料では溶解性・沈殿・風味、錠剤やカプセルでは充填性や製品サイズなどが検討項目になります。実際の原料を使った試作で、他の配合素材との相性や保存中の変化を確かめます。

品質と安全性は、採用する抽出物ごとに確認
キャロブには食利用の歴史がありますが、濃縮した抽出物まで、あらゆる量・対象者で同じ安全性があるとは判断できません。原料の同定、抽出溶媒、規格成分、残留物、微生物、保存条件などを確認し、最終製品に適した品質管理を行います。
キャロブ由来素材ではアレルギーにも配慮が必要です。欧州食品安全機関のローカストビーンガム評価には、過敏反応の症例が整理されています。これはガム素材などの情報であり、すべての抽出物の危険性や発生頻度を示すものではありませんが、「植物由来だからアレルギーがない」とは説明できません。[3]
また、今回確認した2026年の濃縮物の試験では、糖代謝に影響する薬の使用者、妊娠・授乳中の方などは対象から除外されています。この試験で、それらの方への安全性や薬との併用が確認されたとはいえません。治療中の方がサプリメントを検討する場合は、医師・薬剤師へ相談してください。[6]
アダプトゲン製薬の取り扱いについて
アダプトゲン製薬の取り扱い原料一覧には、イナゴ豆抽出物を掲載しています。ご検討の際は、商品コンセプトや希望する剤形を添えてお問い合わせください。[7]
よくある質問
Q. イナゴ豆抽出物は昆虫由来ですか?
いいえ。ここでいうイナゴ豆は、植物のイナゴマメ(キャロブ)です。昆虫のイナゴとは異なります。
Q. キャロブパウダーと同じですか?
同じとは限りません。食品用のキャロブパウダーは一般に果肉を粉末にした素材を指します。抽出物は成分を取り出して調製するため、組成や風味が異なります。商品名だけでなく規格書を確認してください。
Q. ピニトールとイノシトールは同じ成分ですか?
D-ピニトールはイノシトールに関連する化合物ですが、ミオイノシトールやD-カイロイノシトールと同一ではありません。成分名、含量、分析方法を確認して比較する必要があります。
Q. 抽出物にもチョコレートのような色や味がありますか?
キャロブ食品の印象だけでは判断できません。使用部位や抽出・精製方法、賦形剤によって外観や風味は変わります。実際に使用する原料で確認してください。
Q. OEMの見積相談には何を伝えればよいですか?
商品コンセプト、希望する剤形、想定する販売先、製造数量の目安をお知らせください。着目している成分や配合したい他素材があれば、併せてお伝えいただくと相談を進めやすくなります。
イナゴ豆抽出物を使った商品づくりのご相談
イナゴ豆抽出物を使った商品の企画をお考えの方は、OEMの見積相談をご利用ください。ご希望の商品イメージや剤形を添えて、お問い合わせください。
参考文献・資料
- Oregon State University. Ceratonia siliqua:植物の特徴と食品利用。
- Christou C, et al. GC–MS analysis of D-pinitol in carob: Syrup and fruit (flesh and seed). J Chromatogr B. 2019;1116:60–64. doi:10.1016/j.jchromb.2019.04.008.
- EFSA ANS Panel. Re-evaluation of locust bean gum (E 410) as a food additive. EFSA Journal. 2017;15:4646.
- Turnbull LA, et al. Seed size variability: from carob to carats. Biol Lett. 2006;2:397–400(抄録確認)。
- Bañuls C, et al. イノシトールを含むキャロブ由来飲料を用いた無作為化比較試験. Clin Nutr. 2016;35:600–607. doi:10.1016/j.clnu.2015.05.005(抄録確認)。
- Pérez-Piñero S, et al. 特定のキャロブ液体濃縮物を用いた90日間の無作為化比較試験. Nutrients. 2026;18:1521. doi:10.3390/nu18101521.
- アダプトゲン製薬株式会社. 取り扱い原料一覧。




